大学のIRで注意することはBIツール選びだけではない

大学のIR界隈でBIツールの導入事例が増えていますが、ツール選びそのものに意識が集中しているケースが多く見受けられます。この記事では、BIツールによって得られるメリットと共に、その選択に際して考慮すべき注意点についてお話したいと思います。

※前半部分は大学関係者の皆さんにはお馴染みの内容ですので、読み飛ばしていただいて構いません。

大学IRとは

私たちヴェルクは、国立大学や私立大学など、様々な大学に対してITの面からIR(Institutional Research)の支援を実施しています。IRとは、簡単に言えば「大学経営のための調査・分析」なのですが、少子化をはじめとする社会環境の変化にともない、大学に対するニーズもまた変化する近年において、適切な教育改革を下支えする重要な取り組みです。IRはすでにアメリカの大学では広く定着していますが、日本で本格的に実施している大学はまだ限られており、文部科学省はIRの普及を強く後押ししています。
しかし、日本の多くの大学では、リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)の制約からなかなかIRが軌道に乗っていないのが現状です。とくに中小規模の大学は、教員、職員などの人的リソースに限りがあるため、IR専任の担当を置くことができず、本業の傍ら「何から分析を始めるべきか」という事例のキャッチアップに終始しているケースが多いのではないでしょうか。
そこで、今回はIR活動を進めるにあたって陥りがちなポイントについて記していこうと思います。

トップダウン型で始まった日本のIR

民間企業において、売上高の分析やマーケティング等は企業の活動を支える重要な取り組みです。企業規模やカルチャーの違いによって力の入れ方に差はあっても、こうした活動をまったく行っていない会社は少ないでしょう。
一方、日本の大学の世界では、良くも悪くも文科省が中心となって各大学の教学系の情報を集めていたという歴史的な経緯もあり、各大学内の分析は現場に任されてきたのが実情です。そのような中、前述のように、文科省が米国式IRの取り組みを強化するように全国の大学に通達を出したため、大学ごとの「分析力」の差が浮き彫りになってきたのが現在の状況だと思います。

セルフBI型のツールがIRに与える影響

以前の記事でも触れたように、かつてデータ分析は巨大なシステムや高価なツールが必要な「高嶺の花」でした。大学におけるデータ分析の世界でもそれは同様で、SASやSPSSに代表される専門的なツールを導入できるのは、比較的規模が大きい大学か一部の専門的な大学に限られていました。しかし、近年ではTableauに代表されるように、専門の構築ベンダーが入らずともユーザー主体でスモールスタート可能な「セルフBI」と呼ばれるタイプのBIツールが一気に普及してきました。
このセルフBIの登場により、これまでIRを実施することが難しかった中小規模の大学においても、データ分析をするための環境が格段に手に入りやすくなったと思います。

Tableauを使いこなすための第一歩とは

そんなセルフBIのデファクトスタンダードとなりつつあるのがTableauです。日本の大学でも着々と導入事例が増えており、従来であればExcelを使って力業で行っていた分析も、Tableauを活用することで遥かに素早く、かつ正確に行えるようになりました。
ただし、Tableauを導入しさえすれば簡単にデータ分析ができるようになるかといえば、そうではありません。データ分析においては準備段階こそが重要で、この段階を疎かにするとノイズだらけのデータで分析精度が著しく落ちたり、ドリルダウン(より詳細レベルな分析)ができずに膨大な時間を浪費してしまったりします。
大学関係者の方にもイメージしていただきやすい例を挙げるなら、入試課、教務課、就職課ではそれぞれ異なるシステムが動いていることが多いと思いますが、その状況下で、一人ひとりの学生を紐づけて横断的に分析するためには、各システムのデータフォーマットや粒度を揃えるなど、それなりの下準備が必要になるはずです。
「データ分析に費やす時間の約8割はデータの下準備にかかる時間である」という考え方は、現在、我々データ分析に従事する人間にとって常識になりつつあります。
加えて、そのようなデータの下準備には十分なITスキルが必要であることから、組織内のリソースでその作業を遂行するのは難しいこともあるでしょう。

 

我々ヴェルクはそのような大学に対して、最小のコストと最短のスケジュールで分析環境を提供し、組織が自律的にIR活動をできるようになるまでの支援をさせていただいています。
事例もかなり増えてきていますので、ご興味がありましたら弊社窓口までお気軽にお問い合わせください。

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