経済協力開発機構(OECD、本部:フランス・パリ)との間で、同機構の教育・スキル局(Directorate for Education and Skills)が推進する教育評価AIイニシアチブにおいて、AI・クラウド技術に関する専門的なコンサルティングサービスを提供するためのフレームワーク契約を締結しました。

本契約は、今後の個別業務に共通する契約条件を定めるものです。具体的な業務内容、成果物およびスケジュール等は、今後OECDから発行される個別発注書(Purchase Order)等に基づいて定められ、各業務は書面による依頼後に順次開始する予定です。

OECD教育・スキル局と教育評価AIイニシアチブについて

OECD教育・スキル局は、国際的な学習到達度調査「PISA(Programme for International Student Assessment)」をはじめとする大規模な国際調査を実施し、各国・地域の教育政策の改善に資する比較データ、政策分析および助言を提供しています。

本契約の対象となる取り組みの英語名称は、「Developing an International Large-Scale AI Tool for Educational Assessment and Personalised Learning」です。本リリースでは、この名称を「教育評価と個別化学習のための国際的な大規模AIツールの開発」(当社仮訳)とし、この取り組みを「教育評価AIイニシアチブ」または「本イニシアチブ」と表記します。

本イニシアチブは、AI技術と高度な心理測定モデルを組み合わせ、学習者の成長過程を継続的かつ多面的に捉える教育評価モデルの構築を目指すものです。ここでは形成的評価と総括的評価の双方を支える診断・分析、国・地域や学校レベルでの詳細なデータ分析、評価データを具体的な教育改善へ結びつける方法、個別化された学習環境への活用などが検討されています。

また、AIを利用した教育評価におけるデータプライバシー、公平性、透明性に関する指針やベストプラクティスを検討することも、本イニシアチブの目的に含まれています。

本契約に基づきヴェルクが担う技術コンサルティング

個別発注後、ヴェルクは、OECDが開発主体となる教育評価向けのクラウドベースのAIシステムについて、助言、レビュー、評価、推奨事項の提示、文書化および知識移転を行う予定です。

主な対象領域は次のとおりです。

1. クラウド環境、データ基盤に関する助言とレビュー

大規模な教育評価での利用を想定したクラウド環境およびデータ基盤について、堅牢性、拡張性、セキュリティ、可用性およびガバナンスの観点から、設計方針のレビューと技術的な助言を行います。

2. LLMの出力制御とAIモデルのセキュリティに関する評価

大規模言語モデル(LLM)の出力品質や制御方法、AIモデルの安全性、セキュリティおよび信頼性について評価し、改善に向けた推奨事項を提示します。

3. AIモデルおよび関連システムの評価・最適化に関する助言

AIモデルと関連システムの性能、品質および運用上の特性を評価し、最適化、継続的な改善、新たな技術の適用可能性等について助言します。

4. 技術文書の作成と知識移転

レビューや評価の結果、推奨事項等を技術文書として整理し、OECDがシステムを継続的かつ主体的に発展させるための知識移転を行います。

なお、システム、クラウド環境およびAIモデルの開発・実装・運用は、OECDが主体となって行います。ヴェルクの役割は、専門的な助言、評価、文書化および知識移転を通じて、その取り組みを技術面から支援することです。

本契約を支えるヴェルクの教育×AI領域における専門性

ヴェルクは、教育分野におけるAI活用の産学共同研究、高等教育機関へのAI導入・活用支援、教育データ基盤の構築・運用に取り組んできました。

1. 教育分野における生成AI活用の産学共同研究

国内の高等教育機関との産学共同研究を通じ、生成AIを教育データの分析や教育実務に適用するための研究開発に取り組んでいます。 教育現場の目的やデータの特性を踏まえ、技術的な検証にとどまらず、研究成果を実際の教育実務へつなげることを重視しています。

2. 高等教育機関におけるAI導入・活用支援

複数の高等教育機関に対し、生成AIの導入方針や利用環境の検討、教職員による活用、業務プロセスへの適用など、実運用を見据えた支援を提供してきました。 AIツールの導入自体を目的とせず、それぞれの教育機関の業務、保有データ、セキュリティ要件および組織体制に即した活用を重視しています。

3. 教育データ分析基盤「IRQuA(イルカ)」で培ったクラウド技術と運用知見

大学IRダッシュボードサービス「IRQuA」を全国のさまざまな規模の高等教育機関に提供し、クラウドネイティブなデータ基盤、教育データの統合・可視化、利用者に応じた情報設計および継続的なデータ運用に関する知見を蓄積してきました。

これらの取り組みを通じ、教育実務への理解と、AI・自然言語処理、大規模データの検索・統合、クラウド、セキュリティ、技術文書化および継続的な運用改善を横断する専門性を培ってきました。

こうした知見を、本契約に基づく技術コンサルティングに生かしてまいります。

今後の展開

今後、OECDから発行される個別発注書等において、具体的な業務範囲、成果物およびスケジュールが定められた後、技術コンサルティングを開始する予定です。

ヴェルクは、AIの性能だけでなく、教育評価に求められる妥当性、公平性、透明性、セキュリティおよび継続的な運用可能性を重視し、OECD教育・スキル局が進める本イニシアチブを技術面から支援してまいります。

また、本イニシアチブへの参画を通じて、当社の教育×AI分野における専門性を一層高め、国内外の教育機関、自治体および教育関連事業者との連携に生かすことで、安全で実効的なAI活用の発展に貢献することを目指します。

コメント

ヴェルク株式会社 取締役/アーキテクト
OECD教育評価AIイニシアチブ関連業務 技術アドバイザリーリード
津久井 浩太郎

「OECD教育・スキル局が推進する国際的な教育評価AIイニシアチブを、技術面から支援する機会を得られたことを大変光栄に思います。

教育分野におけるAI活用の産学共同研究、高等教育機関へのAI導入支援、教育データ基盤の構築・運用で培った経験を生かし、クラウド基盤およびAIモデルの安全性、信頼性、実用性を高めるための助言と評価に取り組んでまいります。

教育評価にAIを活用するためには、性能だけでなく、妥当性や公平性、透明性、セキュリティなど、幅広い観点から信頼できる仕組みを構築することが不可欠です。国際的な専門家との協働を通じて、教育現場における責任あるAI活用の発展に貢献していきたいと考えています。」

関連情報

注記

  • プロジェクト名称の日本語表記は、英語名称に基づく当社による仮訳です。
  • 本リリースはヴェルク株式会社が独自に発表するものであり、OECDによる当社または当社の製品・サービスの推奨、保証を意味するものではありません。